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NUEMANN U87Ai/のいまん ゆーはちななえーあい
世界中で愛されるレコーディング定番のコンデンサーマイク
ドイツのNUEMANN(ノイマン)社製のU87Ai。 世界中のスタジオで使用されている、コンデンサー型マイクロフォンです。推察ですが、U87AiもしくはU87がない商業スタジオはほぼないのではないでしょうか。U87AiはU87シリーズの現行モデルであり、発売から40年以上の歴史があるマイクです。U87は現在生産終了しており、U87Aiが主流となっています。 世界が信頼するNUEMANNサウンドはマイクを評価する際の比較基準になっています。
U87Aiはデュアルダイヤフラムで指向性切り替え方式
単一指向性(カーディオイド)、双指向性、無指向性の3種類の切り替えが可能。 カーディオイド特性は、30 cm ー 40 cm の距離で、双指向性でさえ 15 cm ー 20 cm の距離でスムーズな周波数特性を持続します。コーラスやラジオ収録等で双指向に切り替えたり、アンビエンスとして無指向に切り替えてみたりと、場面に応じて様々な使い方が出来ますね。
-10dbパッド搭載
ヘッド下の裏側にパッドスイッチも搭載しており、ONで感度を-10dbにする事が出来ます。 このスイッチがONになっていると、音圧レベルを歪みなしで 127 dB(音圧 45 Pa に相当)まで許容します。
ローカット搭載
裏側にある他のスイッチは、マイクロホンのカットオフ周波数を変えることができるようにします。 これはマイクの入力で直接、低域の周波数特性を低く抑えることができます。 またこの設定は、近い距離での収録で生じるバスの増強(近接効果)を補います。
ボーカル、生楽器、アンビエンス、TVナレーション等あらゆるタイプのレコーディングに対応
声もの全般、アコギ、ブラス、ピアノ、弦楽等のアコースティック楽器全般など、多くのプログラムで用いられてます。特にアコギ、ブラスには抜群でしょう。特性としては低域から高域まで万遍なく綺麗に収録出来ます。若干のハイ上がりではありますが、硬過ぎる、耳を刺すわけではなく明瞭感とバランスを兼ね備えています。
専用のサスペンションが必要
専用のサスペンション「EA87」が必要です。サスペンションとセットで売っているものもあるみたいですね。また、ステレオセットという2本セット組で購入も可能です。楽器の収録やステレオで立てることを前提として購入を考えている方はコンディションキープのためにもステレオセットの購入をおすすめします。 コンデンサーマイクはダイナミックマイクよりも繊細であり、打撃や湿度に非常に弱いです。 扱いには細心の注意を払い、デシケーターに保管するのが良いでしょう。
87シリーズと呼び方に注意
一般的な呼び方は「はちなな」「えーあい」です。「U87Ai」と「U87i」「U87」はどれも「はちなな」と呼ぶ方が多く紛らわしいのです。レコーディング業界では「はちなな」は「U87i」を差し、「えーあい」は「U87Ai」を差します。近年は「U87Ai」が多く普及していますが、マイクブッキングの際はどのマイクなのか確認した方が良いでしょう。
87シリーズの違いの比較
まだ残っている「U87i」と広く普及した「U87Ai」で比較します。「U87」をお目にかかる事はなかなかないと思うので。書いていてややこしいので「Ai」「i」と表記させていただきますね。またこれは「Ai」と「i」の比較であり、総合的な印象ではありません。 「Ai」と「i」とでは、質感もさることながら、「Ai」の方が硬い音をしています。周波数特性は「Ai」の方がハイ上がりで「i」の方がフラットに近いです。 「Ai」は「i」よりもマイクからの出力の時点で10dB程高いので注意して下さい。したがってS/Nがその分「Ai」の方が良くなっています。とは言いつつもこれは数値的な話なので、実際に耳で確かめ、質感を重視して選ばれるのが良いでしょう。ボーカルレコーディングの際も「Ai」と「i」を比べることはよくあります。
歴史あるNUEMANN社と87シリーズ以外のマイク
NUEMANN社は1928年創立と歴史が古く、「U87シリーズ」の他にも様々なマイクを世に送り出しました。真空管コンデンサマイクである「U47」を筆頭に、「M49」→「U67」→「M269」そして「U87」と形を少しずつ変えながら進化していきました。他にもダミーヘッドである「KU100」がありこれはバイノーラルでの収録が可能です。歴史と伝統を守りつつ、近年はデジタル出力のマイクの製品化など最新の分野を切り開く、今後もレコーディング業界をリードし続けるブランドです。
仕様
指向性パターン: 無指向性、カーディオイド、双指向性 周波数レンジ: 20Hz-20kHz 定格インピーダンス: 200ohm 定格負荷インピーダンス: 1000ohm 最大SPL THD 0.5%: 117dB(カーディオイド) 最大SPL THD 0.5% プリアッテネーション時: 127dB 最大出力電圧: 390mV マイクアンプのダイナミックレンジ DIN/IEC 651: 105dB 供給電圧: 48V ±4V 電流消費量: 0.8mA 本体寸法・重量:外形56mm×全長200mm、500g
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他社マイクとの比較
87シリーズと比較出来るマイクはなかなか少なくなってきますが、BRAUNERの真空管コンデンサーマイクでが人気が出てきましたね。値段は90万近くしてしまいます。こちらも今後機会があったら、紹介させていただければと思います。